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放射線計測勉強会6回目。

12/12,13日に郡山で放射線計測勉強会6回目が行われるという事で参加してきました。当日と13日のオプショナルツアーの様子は主催者の方がまとめたtogetterまとめもありますのでそちらもどうぞ→http://togetter.com/li/914466

(前回の5回目の様子はこちらをご覧ください→http://inakafe.blog.fc2.com/blog-entry-15.htmlhttp://inakafe.blog.fc2.com/blog-entry-16.html

1日目は郡山市民文化センターで勉強会を行いました。ついでに勉強会に行く前に柏屋開成店さんであずきの新豆を使った薄皮饅頭などを売っているイベントがあったので、差し入れとして小饅頭セットを買ってきました。ちょうど餡ころ餅の餅つきイベントもやっていてお客さんも大勢いてにぎやかでした。
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最初のお話は高橋正二先生の「モンテカルロシミュレーションで放射線の見える化」。
モンテカルロシミュレーション①

モンテカルロ法で数値計算、シミュレーションをパソコン上で行い、β線とγ線が空間をどのように飛んでいくのか図で表せます。こちらはKEK(高エネルギー加速器研究機構)で開発したEGS5というプログラムがあるので今回はそれを使用して可視化します。
EGS5①

※モンテカルロシミュレーション、EGSの詳細はこちらをご覧ください↓
http://www4.kke.co.jp/cb/column/montecarlo.html
http://rcwww.kek.jp/research/shield/education/education_080714.pdf
スライドを撮影した下の写真は画質が悪くなってしまったので、スライドをじっくり見たい方はこちらからご覧ください。
https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=sites&srcid=ZGVmYXVsdGRvbWFpbnxyYWRpbWVhc3VyZXxneDoxMzI4Nzc4YWZhZTY2ZDRm
※資料中に外部へのリンクが張られていますが、KEK EGS研究会へのリンク以外は無効になっています。

電子(β線)、光子(γ線)は空間を飛んでいくうちに、空気中の窒素、酸素や床、壁の物質の原子核や電子の相互作用により散乱、吸収が起こってエネルギーを徐々に失っていきます。
電子と原子核との相互作用ガンマ線と原子との相互作用

セシウム137の固体を地面に置いた場合、β線が飛んでいく様子の計算例。
軌跡の計算例①

γ線の場合。地面は土の密度もあってあまり飛びません、空気中は最大500mまで飛びます。
662kevの軌跡①

662kev(セシウム137が出すγ線と同じ強さ)のビームを鉛10mmの板に当てた場合だとこうなります。エネルギーが少し減った散乱線が鉛板の後方に多く飛びます。鉛板の後ろに、薄い水の層が表面を覆った、ビームを検出する装置があると仮定しています。
662kevペンシルビーム①

検出部に届いたビーム(光子)のエネルギー分布、鉛板の遮蔽効果がどうなるかグラフで表せます。
EGS計算結果①

中心から360度全域に662keVのビームが飛んでいる様子。
4π等方放射の場合①

こちらは上の図から、ビームが出ている中心を囲んだ遮蔽壁、吸収体が2重にある条件を追加した結果の図です。
4π等方放射の場合②

こちらは土手があった場合の図。
・土手から距離があるほど遮蔽効果は大きい。
・土手のすぐ陰でも10cmの土手で1/3に減少する。
・5m以上の距離があれば、15cmの土手で1/10に減らすことができる。
土手による遮蔽

NaIシンチレータ測定器の中をどうγ線が飛んでいくのか、シミュレートもできます。
NaIシンチレーションのレスポンス

γ線の線束エネルギー分布と実際に飯舘村で測定したγ線スペクトルの数値から、値を予測してグラフを描くことができます。
測定スペクトルの分析例

広い範囲に放射能が分布しているときの線量率の計算。
放射能による空間線量率の計算①
 
広く分布した放射能による空間線量率の計算。γ線を出している線源が遠い位置にあると、計算に非常に時間がかかります。
放射能による空間線量率の計算②

そんなわけで、線源と検出器を入れ換えした条件で計算することにします。
・平面状に一様に分布した等方線源と点状検出器(元の空間)は、等方点線源と平面検出器に入れ替えたとき(変換空間)と同等である。
線源と検出器の入れ換え①  

薄い厚みの空気層での計算
①空気層での吸収エネルギーから空気吸収線量を求める。
・直感的で分かりやすい、計算が単純。
・空気層の厚みを薄くすると吸収確率が下がるのでγ線の発生数を増加、時間がかかる。
今回は①で計算することにします。
平面検出器①

放射能の広がりと線量率(1m高さ)
放射能の広がりと線量率①

除染した場合の1m高さ。
・均一場の場合、半径20cm除染すると線量は大体1/3になる。
・半径20cm除染すると下からの放射線(主に1次線)と上からの放射線(空での散乱線)の成分がほぼ同じになる。
放射能の広がりと線量率②

除染後の残留線量率、高さによる違い
・除染をすると1m高さの方が早く下がる。半径数mの除染で3m高さの方が大きくなる。
・半径20m除染すると、3m高さの線量は1m高さの1.5倍くらいになる。
除染後の残留線量率と高さによる違い

浸透深さによる違い
①当初表面にあった放射能は時間とともに浸透、分散していると考えられる。1cm厚の均等化は線量を3/4にする。
②半径10m範囲で10cm耕すと、1cm厚均等分布に比べて30%程度減少する。
浸透深さによる違い①

前回の勉強会で溝口先生がお話した土を測定する測定機、土壌くんもEGS5で再現できます。前回の記事→http://inakafe.blog.fc2.com/blog-entry-15.html
EGSによる解法①EGSによる解法②
EGSによる解法③


自分でEGS5を使う
・EGS5はKEKの開発したコード。
・必要なメインプログラムソースコード、ライブラリー、cgview、コンパイラーなどはすべて無償で入手できる(KEK EGS研究会のホームページから)
・一番確実なのは、年に1回KEKで開かれる講習会に参加。
・待てない人:講習会テキストはすべてダウンロード可能。一人でも可能だが最初のステップは多少しんどい。
自分でEGS5を使う①

独学で習得する場合
・実行環境(コンパイル、実行)はコマンドプロンプトパッチファイルが用意されている。MS-DOSコマンドの知識があると楽。
・ソースプログラムはFORTRAN。FORTRANもしくはBASICのプログラム経験が必要。
・乱数の取扱(均一分布や等方向放出などに使用)はひな形があるのですぐ慣れる。
・配布されている原型メインプログラムで各領域の吸収エネルギー、指定した領域のエネルギースペクトルなどが得られる。
(注意事項)cgviewは最近のCPUと相性が悪く、画像処理に時間がかかる(グラフィックアクセラレータと衝突)
独学で習得

お話終了後に差し入れで「いわきの女王」といういちごやままどおる、エキソンパイなど頂きました。
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休憩後、東京電力福島復興本社の代表、石崎芳行さんが来て福島第一原発の廃炉状況の解説と福島復興本社の活動のお話をお聞きしました。今まで福島第一原発の視察に訪れた人は約1万五千人になるそうです。石崎さんは「是非福島第一原発の視察に訪れてください、その後、定期的に視察に来ていただければ廃炉の進捗状況が分かると思います。視察に訪れた方は周囲の方に口コミで広めてください。皆さん一人ひとりの力が必要なんです」と言っておられました。

福島復興本社さんは他の企業と構成した「ふくしま応援企業ネットワーク」を設立して、日本橋銀座館MIDETTEなどの福島県アンテナショップや他イベントでの福島県産品の販売サポート、促進活動などをしています。その他避難区域の除草作業、仮設住宅の除雪、住宅の清掃と片付け、小中学校の荷物運搬、整理といった色々な活動も行っています。

福島復興本社の活動、廃炉状況などはこちらのHPで確認できます。
福島復興本社http://www.tepco.co.jp/fukushima_hq/index-j.html
廃炉プロジェクトhttp://www.tepco.co.jp/decommision/index-j.html

その次のお話は泉 智紀先生の「モニタリングポストの運用とデータの理解」。元々の専門は制御工学、信号処理だそうです。空間線量を測るモニタリングポストの値でどう異常値を判別するか?
異常値を判別したい異常値を判別したい②
●異常値を判別したい
・最初の頃は降雨・降雪による線量率上昇で騒ぎ。
・故障や移設による異常な波形で騒ぎ。
デマなどはさておき
・事故の発生を知りたい
・少なくとも実際の線量率の影響でないものは排除する必要がある
・気象の影響が大きい
・人間の生活が表われる
・除染の有無
などなど、理由は様々

福島県に限らず全国には空間線量を測る線量計が設置してあります。線量計は主にモニタリングポスト(固定型、可搬型)とリアルタイム線量計の二つです。
規制庁の線量計の分類と目的規制庁の線量計の分類と目的②
それぞれの目的
・モニタリングポスト:原子力施設からの放射性物質の放出を監視するため、原子力事業者や各都道府県が発電所周辺などの適切な地点に設置しています。
・リアルタイム線量計:放射線量をいつでも速やかに把握するため、連続測定ができるようになっています。
可搬型のモニタリングポストは比較的小ぶりな形をしていますが、固定型モニタリングポストはいかにもどっしりした物置のような形状で原発付近などに設置されています。

全国にはモニタリングポストとリアルタイム線量計合わせて4357個存在し、その内福島県では3636個設置されています。(2015年12月7日現在)
福島県内の設置①
線量計にはそれぞれ緯度、経度、設置高(cm)、管理番号のIDが割り振られておりデータはIDごと管理されています。

異常値には、核関連施設の事故、非破壊検査、温度変化、電磁ノイズ、降雨降雪、車遮蔽、人体遮蔽、放射線治療、除染などなど特徴があります。線量計の機種によって測定値の変動の様子は異なるので、まずリアルタイム線量計の感度を計算したところ機種のメーカーによってそれぞれ感度に違いが見られました。既に設置しているリアルタイム線量計約30基が移動のためデータベースから削除されており、来年度には約60基新規設置されるそうです。

線量率の変化①
●線量率の変化 考えられる理由一覧
・事故など(一番の目的)
原子核壊変、ウェザリング、降雨降雪、積雪(遮蔽)→自然現象
・除染、非破壊検査、車遮蔽、線量計の移設→人為的によるもの
・温度変化、電磁ノイズ、その他故障
・人体遮蔽、放射線治療などなど

・事故などの場合‥2013年夏の3号機瓦礫撤去により、一時的に線量が上昇した所も。
・降雨降雪‥天然の放射性物質ラドンの娘各種(ラドンが崩壊してできる放射性物質)による線量上昇が見られます。降雨によって線量が上がるので、気象庁の降雨量ともリンクしています。
降雪降雨①降雪降雨②

雪が降ると積もった雪が放射線の遮蔽になるため、一時的に線量が下がります。
積雪①

・除染‥線量計が置いてある施設で除染作業をして線量が下がったり、おそらくは廃棄物の一時保管により線量が上がった所もありました。
除染①

非破壊検査‥検査対象にX線を使用するため、そのX線を拾って線量が一時的に上昇することも。波形により非破壊検査の作業はおよそ10分以内で終わるそうです。
非破壊検査①

他には、線量計の近くに車を置くと車遮蔽で数値が下がったり、温度変化に対して線量率が上がる事もあるようです。移設による設置場所の移動、故障(携帯電話端末の電波を受信したことが原因?)などでも数値が変化します。
温度変化①

お話会の後の懇親会では、捕捉で高橋先生、泉先生のお話も再度お聞きしました(捕捉の内容は上記にまとめました)。今回のお食事はきりたんぽ鍋で、その他玉川村名物のさるなしドリンクhttp://kobushinosato.com/sarunashi/index.htmlや地酒などの酒類の差し入れも頂きました。
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二日目は許可を頂いて浪江町の帰還困難区域を巡るツアーという事で周囲の線量がどれくらいか計測してきました。※2017年3月31日に飯舘村、浪江町、川俣町山木屋地区に出されていた避難指示は帰還困難区域を除いて解除されました。帰還困難区域とその他の地域を隔てるゲート周辺なども見てきました。(詳しくは同じく参加していらした奥村先生のフリッカーをご覧下さいhttps://www.flickr.com/photos/h_okumura/sets/72157662408498666)
参加者の方のお話によると2012年は10μSv/h以上だった場所が半減したりと線量が全体的に下がっているそうです。山中の地区を主に回ったのですが、10μSv/h以上の所や100μSv/hのホットスポットもまだあります。(個人線量計を付けていたのですが約7時間で7~12μSv程でした)逆に、約0.3μSv/hの所もあります。途中いのししの姿が見られたり、震災後に起った水害による被害がそのまま残った所もありました。

こちらは弘前大学によって設置された放射線測定機。このバケツにたまった雨水からどれだけセシウムが降下しているかを調べます。
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この他では固定型モニタリングポストや河川の水を測る測定機も設置してありました。
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大柿ダム、コンクリートダム建設が困難な場所で用いられるロックフィル型のダムだそうです。
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ちなみに、帰還困難区域から出るときはスクリーニングを行う所で汚染されたものを持ち出さないよう、放射線測定を受けます。東京電力さんがスクリーニングを受け持っていて、私達の場合は車のタイヤと靴底を測定されました。

私たちが巡った道沿いでは酪農や畜産を行っていた所が多く、草刈りをしている除染作業員の姿もちらほら見かけました。私達がゲートに行く途中に通った、川俣町山木屋村地区の仮置き場になるであろう田んぼ(全体的に砂がまぶしてあるので色でわかる)も非常に多く、農業をしていた方はざそや無念だったろうと思います。浪江町にも除染予定の所や清掃されず落ち葉が積もったままの道も多く、まだまだ復旧や復興はこれからなのだと思わされました。

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