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エネルギーレビュー(中級者、上級者向け)

今回は主に電力、エネルギー関連を取り扱った科学雑誌、エネルギーレビューを紹介したいと思います。こちらの雑誌は定期講読制ですが、店頭販売では丸善丸の内店、八重洲ブックセンターで売られています。公式サイトでは1冊からでも通販、購入可能です。http://www.erc-books.com/ERC/ER/ER-Main-F.html

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原子力を含めた電力エネルギーの国際、国内情勢に関する記事が多いですが、福島第一原子力発電所の廃炉のリポートが巻末に毎号載っていたり、また2019年2月号の記事では北海道胆振東部地震に伴って起きた北海道ブラックアウトの分析なども掲載してあります。他にも違う分野で、ジョンソン宇宙センターの視察ルポや鶏肉を生で食べる事で発生するギランバレー症候群の解説、その治療法の紹介などの記事もあります。

2018年12月号の巻頭インタビューでは津波研究に携わる研究者、首藤伸夫先生(東北大学名誉教授)を取り上げています。首藤先生は1960年に起きたチリ津波がもたらした被害調査のため、現地の方と話したことで津波の歴史を詳しく調べ始めたことから、研究に関わるようになったとの事です。以下、インタビューの内容を要約して取り上げさせて頂きます。

-昭和28年災害は大水害とのことでしたが。(注:昭和28年に梅雨による集中豪雨で、主に九州地方北部に発生した昭和28年西日本水害のこと。)
「私は大分県出身ですが、満州育ちなんです。5歳のときに満州に渡り、小学校五年生のときに終戦、翌年に本土に引き揚げてきました。筑後川の氾濫で堤防が何か所も決壊し、その中の1か所は3キロにも渡っていました。当時は満州から帰ってきて、日本は雨が降れば洪水になる、と身に感じて知っていた時代でした。大学進学にあたっては、雨が降っても水害にならないような国にしたいと思ったものです」

(中略)

-今、改めて東日本大震災大津波の教訓は何か。
「一番の心得として、われわれは自然のことをほとんど知らない、ということを前提にすることです。地球の歴史は50億年、人生50年、これを比較すると人の1秒が地球の2.5年ほどでしかない。だから、人が25年測って分かったとしても、人を10秒診察した程度にしか過ぎません。何が起きても、その全てが分かるはずがない。人間、10年一昔と言います。30年も経てば、世代が変わってしまい、人はどんどん忘れていってしまう。忘れてしまうことが一番の問題点で、どのように繋いでいくかが重要になります。津波は一つずつ違い、同じ津波でも場所によって異なり、わずかな経験から判断すると大怪我をします。津波対策の三原則は、高い所に住むこと、地震があれば高い所に避難すること、海岸に近い建物は浸水を覚悟することで、この3つは次世代へと繋いでいかなければなりません」


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福島を知る本+サイエンスの入門書(初心者向け)

今回は震災後の福島を取り扱ったマンガ、文系の方でも読めるサイエンス初心者の方向けの本を紹介します。

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●はじまりのはる 著:端野洋子さん(1,2巻)
震災後の福島で暮らす、農家の子である高校生とその周りの人達の様子を描いたマンガです。酪農家、きのこ農家さんなどの震災当時の苦悩が重く描かれていますが、話の最後は希望を感じさせる形になっています。月刊アフタヌーンで連載中です。

●いちえふ 福島第一原子力発電所労働記  著:竜田 一人 さん (1~3巻)
元々県外在住だった竜田さんが、福島第一原発の作業員として働くようになった過程や実際の現場での作業の様子などが描かれています。1、2巻では当時の同僚と一緒に働き先の企業を変えたり裏方的な仕事をしていましたが、3巻以降では高線量の現場で仕事をするようになったりと時勢に合わせて竜田さんの身の回りの状況も少しづつ変化していっています。週刊モーニングで不定期に連載中です。

●僕と日本が震えた日 著:鈴木みそさん
震災後の作者さんの家族の様子から始まって、宮城県石巻市の製紙工場が重大なダメージを受けた事による漫画雑誌の出版業界の話、千葉県柏市の放射能測定所ベクミルのお話、分かりやすく解説した放射線測定に関する入門的な話などがまとめられています。2012年発行なので今見ると情報が古く感じるかもしれませんが、当時の震災を振り返るおすすめの本です。

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●いちから聞きたい放射線のほんとう: いま知っておきたい22の話 著:菊池誠先生、小峰公子さん
物理学者(大阪大学サイバーメディアセンター教授)の菊池誠先生と、郡山出身のミュージシャンであるZABADAKの小峰公子さんとの対談という形をとって、放射線に関わる物理学などをやさしく書いた本です。本書の内容は実際にお二人がインターネットを通じて交わしたチャットを元にしています。漫画家のおかざき真理さんが本の挿絵、まんがを手がけており、十代の学生さんでも読めるとっつきやすい本です。
著書のお二方は、現在萩上チキさん編集の電子マガジン「シノドス」での対談記事も書いています。
http://synodos.jp/science/15807
http://synodos.jp/science/15817

●知ろうとすること 著:早野龍五先生、糸井重里さん
物理学者(東京大学大学院理学系研究科教授)の早野龍五先生とコピーライターの糸井重里さんの対談本です。早野先生自身の体験からCTスキャンによる医療被ばくの話、冷戦の時代に頻繁に行われた大気圏核実験による影響から放射線測定をするようになったきっかけ、福島高校の高校生と一緒にジュネーブのCERN(欧州原子核研究機構)で研究発表をした事や宇宙のビッグバンで水素が生まれた過程のお話などが書かれています。科学的に物事を考える力、そのこころのありようをやわらかく話している本です。

●はじめての福島学 著:開沼 博先生(福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員)
たびたびNHKの番組にも出演されている開沼先生が福島の人口、農林水産業、観光業、復興政策、雇用などの問題を統計、データ、ご自身のフィールドワークに基づいて解説している本です。ページは厚めですが、福島を知るための25の数字に関することから福島へのありがた迷惑12箇条など読みやすく書かれています。後書きでは福島学おすすめ本、論者リストとして福島の事を知る本や活動している福島県の人、団体さんなども紹介してあります。

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●季刊 理科の探検 編集長:左巻 健男先生(法政大学教職課程センター教授)
小学校、中学校で習う理科(生物、数学、工学、天文学など)を読みやすく扱っている雑誌です。写真の「きれいな化学」特集ではSTAP細胞問題を取り扱っていたり、「ニセ科学を斬る!リターンズ」特集ではノンシリコン系シャンプーに関する解説など、科学関係の身近な社会問題の記事も載せています。内容はどちらかというと理科など科学教育を教えたりしている学校の先生向けなのですが、中学生さんからでも読めると思います。

●決してマネしないでください 著:蛇蔵さん
科学の歴史である「科学史」の偉人、奇人、変人を理系の軽いノリで解説している漫画です。週刊モーニングで連載中です。最初はラブコメから始まると思いきやマニアックな専門用語や実験が1話目から飛び交いますが、分からなくても大丈夫です。接触感染による産褥熱の原因を発見したゼンメルヴァイス、近代医学の発展に貢献したジョン・ハンター(ハンターの弟子は天然痘ワクチンを開発したジェンナー)の回が個人的におすすめです。

たまに出る名言もなかなか深いです。
「物理学は自然がどんなルールでできているか、数学を使って解き明かす学問です。たとえば宇宙の始まりや宇宙の果てに行くことはできませんが物理学を使えば、そこで何が起きているのか知ることができるんです。考えるだけで宇宙の果てまで行ける、それが物理学です」